2.5 サプリメントの知識

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53.亜鉛

　亜鉛は、最近になって、重要性が見直されるようになった微量ミネラルで300以上の生理活動に関わっていることが知られています。食べ物の味がわからない「味覚障害」の人が増え、その原因は亜鉛不足にあるといわれています。食べ物の味を感知するのは、舌にある「味蕾」。このなかにある味細胞がどんどん新しく生まれ変わることで、私たちの味覚は成り立っています。亜鉛は細胞分裂に大きな役割を果たしていて、亜鉛が不足すると味細胞の細胞分裂が遅くなり、味覚異常を引き起こすのです。
他に免疫活動、男性や女性の生理機能やアレルギー、傷の治り、肌の健康などに広く関わります。

〔1日の所要量（RDA）〕
成人は、15mg

〔作用〕
　300種類以上もの酵素の働きに関与する、重要なミネラル。活性酸素を制御する酵素（SODなど）が働くときにも使われます。インシュリンをつくるのにも亜鉛が必要なので、亜鉛不足は糖尿病の原因になります。ビタミンB群の吸収には亜鉛が必要です。
　男性のみなさんに注目してほしいのは、亜鉛が前立腺の働きを正常にし、生殖器官の発達に影響を与える点です。男性ホルモンと精子の生成にも亜鉛が欠かせず、亜鉛が不足すると前立腺肥大のほか、性欲の低下、インポテンツ、男性不妊症を起こします。
　子どもの場合、亜鉛が不足すると、身長や体重の伸びが遅れます。大人では先に書いたような症状のほかに免疫力の低下、食欲不振、発疹、床ずれ、けがの回復の遅れ、うつ病、脱毛、爪のトラブルなどが起こります。

〔危険性〕
　摂りすぎると、かえって免疫力が低下し、貧血や吐き気、下痢を起こすことがあります。最近のアメリカ国立がんセンターの研究では亜鉛の摂りすぎはガンのリスクを高めることがわかりました。アルツハイマーとの関連も指摘されています。

〔豊富に含む食品〕
　牡蠣、抹茶、数の子、ココア、きなこ、いりごま、小麦胚芽、豆類、カリフラワー、アボカド、ナッツ類。

〔ポイント〕
　パンやインスタントラーメンに多量に含まれているフィチンという成分は、亜鉛の吸収を妨げます。こうした食品を食べる機会の多い人は、サプリメントで亜鉛を補いましょう。
　亜鉛はビタミンA、カルシウム、リンと一緒のときに最もよく働きます。また、亜鉛は体が銅を吸収する能力を低下させるので、亜鉛のサプリメントを摂るときは銅のサプリメントも合わせて摂ることがすすめられています。比率は、亜鉛10mgに対し銅1mgが適切です。
　閉経後の女性やお酒を飲み過ぎる人は、尿と一緒に亜鉛をたくさん排泄してしまい、亜鉛不足になりがちです。高齢者も亜鉛の吸収力が落ちるので、サプリメントで補ってください。吸収力が優れているのはピコリン酸でキレート化されたピコリーネート亜鉛で、栄養療法医なども勧めています。

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