2.5 サプリメントの知識 |
33. 食品過敏症を含めると現代ではアレルギーのない人を探すほうが難しい。現代病としてのアレルギー、全ては食物アレルギーから
アレルギーとリーキーガット症と塩酸(HCL)不足
アレルギーは、異物の抗原が体内に入ったとき、それに応じた抗体による免疫反応がもとになり引き起こされます。通常は細菌などから体を守るためのシステムである、この反応が、不必要に、また過剰に起こることで症状が出てきます。
最近のアレルギーの研究は2つのタイプのアレルギーを区別しています。抗原抗体反応(異物である抗原とそれを無力化する抗体の反応)を起こす抗体のイミノグロブリンE(IgE )とイミノグロブリンG(IgG)によるものの2種類です。(抗体には、IgGが4種類, IgAが2種類, IgM, IgDは IgEと同様に1種類あります)。
アレルギーの研究は、多くははっきりとした症状を持つ人に対して行われてきましたが、アレルギーの70%は症状がはっきりと出ない潜在的なアレルギー症候群であるといいます。
「IgEによるはっきりとしたアレルギー」は、2〜3分の内、あるいは1〜2時間の内に激しい咳、鼻水、発疹などの症状がでます。「IgGによるアレルギー」は、「潜在的食品アレルギー」とよばれ、ELISAなどの特別な血液検査で発見されます。検査は、食品のアレルゲン(抗原)を摂取後、反応が出るまでの時間が遅れるため、1時間とか5-7時間あるいは数日後などの時間を必要とするものです。
胃での塩酸の分泌不足とリーキーガット症は、隠れた食品アレルギーの原因となります。胃に酸が無いと言うことは、消化、特にタンパク質の消化の前処理がきちんと行われないと言うことです。(タンパク質消化酵素のペプシンは強酸の中だけで働きます。)そのため多くの未消化タンパク質が小腸に到達します。
リーキーガット症とは、未消化の脂肪とタンパク質が腸内でフリーラジカル(活性酸素)として振るまい、消化管の膜に未消化分が通れる穴をあけて起こる症状です。血中に未消化物が流入すると免疫システムにその未消化分は異物と認識されて、免疫システムが反応し、不要な炎症を起こし、本来の免疫力を低下させて、無数の体調不調や、大腸ガンを引き起こすことになります。
そこで起こる免疫反応は次のようなものです。白血球のひとつであるBリンパ球が、異物(未消化物)を無毒化するために抗体のIgGを生産し未消化物に結合させます。未消化物の量が少なければ未消化物と抗体IgGの複合物は白血球に食べられてなくなりますが,それらが多過ぎると血液に乗って体中に抗体はひろまって炎症を起こします。それが皮膚や肺、関節などで痛み、かゆみ、うつなどの症状を引きおこすことになります。
また、その複合物は、体にあらゆる臓器や器官に広がるため、疲労、頭痛、不眠など広範囲な2次的な食品アレルギーの症状はを引き起こします。
これが多くのアレルギーのもとになる、食品アレルギーの始まりです。
アレルギー体質の人ばかりでなく30歳を過ぎたほとんど全ての大人(特に高齢者)は、塩酸の体内生産が減り、胃は、塩酸を補うために、盛んに胃液を出す結果、他の酸が、過剰生産されます。
この胃液が、食道を逆もどりするとき、“胃の不調”、“胸やけ”をひきおこします。
しかし、この胃液は、多くの場合、塩酸の自然な源ですし、食べ過ぎを抑える働きもします。
もし消化管のなかに酸を抑制するものがあるならば、胃の内容物を完全に消化することは出来にくくなります。消化器官に未消化の食物が残っていると、免疫システムが、本来やらなくてはならない異物に対する免疫反応の替わりに、未消化の食品に対して免疫反応をしてしまうことになります。体内で生産されるものと同様な、自然な分泌物を補うことによって、ベタイン塩酸などの塩酸サプリメントは、胃腸のストレス(ガス、不消化、胸やけ)改善に貢献します。
今までの説明で酸を中和する制酸剤を過剰に摂取してはいけないことがおわかりでしょう。ベタイン塩酸は、豆の一種のビーツから取りだされ、乳糖の消化を助ける働きをします。(但し、胃が傷ついている場合などには、ベタイン塩酸サプリメントは症状を悪くするので摂ってはいけません。)
米国の栄養学者や栄養療法医は、必須脂肪酸(特にγ−リノレン酸)によりアレルギー反応の起こる生化学的メカニズムをうまく修正できるという報告や化学物質へのアレルギーにはミネラルのセレニウムが極めて有効であるなどの報告がされています。
逆にこれらが不足すると症状が出やすかったりアレルギーになりやすいと言うことでもあります。
特に食品アレルギーと食品過敏症で気をつけたいこと
あまり一般には意識されていないことですが,食品アレルギーまたは過敏症は次の症状を起こす可能性があります。もしあなたが食品化敏症で下記の症状が現れていたら関連を疑ったほうが用かもしれません。(「ジョナサンライト博士の新・栄養療法」(廣済堂出版)より)
喘息、学習障害、ガスが溜まる、膀胱炎、軽い脳の機能障害、頭痛、滑液包炎、気分が不安定、ハイパーアクティブ、セリアック病、頻繁な感染症への感染、過敏性大腸炎、うつ病、吹き出物、関節の痛み腫れ、十二指腸潰瘍、夜尿症、栄養素の吸収不全、浮腫、気管支炎、腎炎、疲労、口腔・唇の潰瘍、尿にタンパク質がでる、胃炎、慢性の腰痛、発作、発疹、下痢、潰瘍性大腸炎、低血糖、湿疹、肌のかゆみ、めまいなど
牛乳はほどほどに
牛乳は多くの栄養をカバーし体によいと今でも信じられています。しかし多くに成人の日本人にとって牛乳は栄養源とは言いがたいのが現実です。栄養を摂るどころかカルシウムやマグネシウムが流出するといわれます。
と言うのは、牛乳に含まれる乳糖アレルギーの乳糖不耐性はもっとも一般的な食品過敏症だからです。北欧以外の人はほとんどこれを抱えていて、米国では東洋系の95%、黒人の75%、インディアンの60%が乳糖不耐性であるといいいます。
多くの子供は成長する過程で乳糖の消化能力を失い乳糖不耐性となります。乳糖不耐性の人は、同時に牛乳アレルギーであることが多く、乳糖だけであれば乳酸菌の一種のアシドフィルス菌や酵素のラクターゼのサプリメントを飲めば問題はなくなるのですが、牛乳アレルギーも持っている場合は牛乳を摂らないようにしたほうが懸命です。お腹が下るだけではなく、鼻炎や頭痛、発熱など多様な症状を生み出します。
食品中の添加物によるトラブル
ワインなどに使用される防腐剤の亜流酸塩は、「人体では亜硫酸オキシターゼという酵素で分解されるはず」ですが、実際は激しい症状が出ることがあります、
亜硫酸塩による障害は、蓄積されつづけ過敏な人の症状は、皮膚の充血、めまい、脱力感、喘息、息切れ、咳き、チアノーゼ、集中力の欠如などです。ワインが最も現れやすい、と言われます。喘息患者の11人に1人はこの過敏症と疑われています。
食品や化学物質への過敏症の増加の原因は、土壌からの栄養素の流失と食品加工上の栄養のロスによる栄養摂取状況の悪化、と生活環境中の化学物質の飛躍的増加ではないかと米国の栄養療法医のジョナサンライトは疑っており、状況証拠はいたるところにあると言っています。動物実験でも、化学物質で免疫が低下し、しかも化学物質を除いてから2世代を経てもまだ免疫が弱い状態が続いたといいます。
このようなことが原因で過敏症が飛躍的に増えていると考えていますが,動物実験の場合でも前の世代に栄養が不足して免疫が弱い場合、必要十分以上の栄養をサプリメントで供給することで短時間に回復させることが可能だと言います。